調査館の概要と目的

 「さっぽろ自然調査館」とは何者か?! どういう目的でこんなにいろんなことやっているのかを紹介します。とりあえず設立趣意書から抜粋して転載します。
 

●グループ概要

 「さっぽろ自然調査館」は、北海道内において自然環境調査・社会調査・自然紹介活動などに実践的にとりくむグループです。構成員3名と少人数でまだ試行錯誤の段階ですが、今までの経験も活かして北海道における生態系の調査研究と自然紹介ソフトづくりの“技術集団”を目指していきたいと考えています。
 1997年度4月から活動を開始し、札幌に事務所をおいています。現在は環境庁・北海道や自治体からの(委託)調査などを行ないながら、北海道の自然に関するデータの蓄積、環境調査手法の開発、分かりやすい自然の紹介方法の開発といったことに取り組んでいます。平成12年度より法人化し(有)さっぽろ自然調査館となり、2002年7月に(株)になりました。今後も専門家の方々、自然に関心のある方々のご協力を得ながら活動を進めて行きたいと思っています。指導ご鞭撻よろしくお願いいたします。

◆団体名称:(株)さっぽろ自然調査館

◆代表:渡辺 修 wata-os★cho.co.jp(★を@に)

◆事務所所在地:〒004-0051 札幌市厚別区厚別中央1条7丁目 1-45 山岸ビル

◆連絡先:電話 011 (892) 5306  FAX 011 (892) 5318
    :電子メール chosakan★cho.co.jp(★を@に)

◆社員:6名 (役員3名)

◆定期刊行物:「調査館通信」(年2回発行、定期購読約250)


●設立意図 調査と自然紹介ソフトづくりの有機的結合を目指して


◆環境調査の重要性

 近年、自然に関する情報への需要が高まっています。一般市民の関心が以前にまして強まってきており、政府や地方自治体の諸政策は自然環境情報を無視しては行なえなくなっています。そのため、情報を得る手段である「自然環境調査」は年々重要度が高まり、各地で実施されるようになってきています。そしてその多くは、「アセスメント=環境影響調査」という形で行政の支持のもと実施されています。いわゆる「環境アセスメント法」も成立したことから、この種の調査は今後ますます増加すると思われます。

◆今後求められる調査

 しかし、従来のアセスメント調査に対しては「結果が事業計画にほとんど反映されない」「言葉が難解で意味が分かりにくい」といった批判がありました。確かにアセスメント調査には今まで十分な活用の場が与えられていませんでしたが、今後は開発事業においても自然環境の保全が前提となる中で重要な役割を果たすことが求められてくるでしょう。また、得られた情報の活用として 、理解・利用しやすい形で一般市民に提供する場面が多くなって来ると予想されます。
 これらの時代の要請に応えていくには現在の調査の方法論はまだ未熟であり、模索の段階にあります。例えば対象地域の生息動植物のリストを作成するだけでは、その自然を保全するためにも活用するためにも使いようがありません。といって自然のどのような面に価値があるのか、その価値を守るためにはどうすればよいのかは、簡単に答が出る問題ではなく、学術的にも多くの課題があります。有効な調査方法の開発(動植物の生態解明・環境変化の予測・対策案の評価)や、結果の集約・表示方法の開発(他調査地データとのリンク・各分野のデータの縦断分析・統計手法の活用・表示のビジュアル化・マルチメディア化)をする必要があるのです。

◆環境教育と調査

 一方、自然観察会や自然体験教室のような環境教育の実践も、環境庁や地方自治体、社会教育機関、自然保護団体などによって盛んに実施されるようになり、熱心な参加者が大勢つめかけています。これらの環境教育の場において重要なのは教育プログラムの内容です。従来は、まずは自然に関心を持ってもらおうという目的から「自然にふれる」ということに重点がおかれ、内容は簡単なものがよいとされてきました。自然に関心を持つ人が増えて来ている現在の状況は、この目的がある程度達成されて来たといえます。しかし、参加者の興味水準が高まってくると、これまで通りの観察会では参加者のニーズを満たしきれなくなってくることが予想されます。教育プログラムを常に更新し、質を高めていくことが重要となってくるでしょう。そこで活躍するのが、実際に自然を詳しく調べた経験ととそれによって得られた情報・データです。今まで調査といえば学術的なものやアセスメントのようなものがほとんどでしたが、自然教育に役立つような調査がこれからは必要になると私たちは考えています。

◆調査からソフトづくりまで

 このように考えれば、「政策決定と市民教育に有効な自然環境調査」と「質の高く動的な自然紹介ソフトの作成」というそれぞれの課題は、両者を一まとまりとして実践することで、同時に満たせるのではないでしょうか。私たちは、調査の企画から実施、取りまとめ、自然紹介ソフトの作成までを一貫してプロデュース・実施することによって、このことに挑戦していきたいと考えています。今までもこれらの一つ一つに取り組んではきましたが、これからはそれらに関する技術・知識を集約・蓄積することに専門的に取り組みたいと思います。現在の社会には、このような取り組みができる条件はまだ整っていないかもしれません。しかし「さっぽろ自然調査館」では個別の課題に取り組みつつ、それらを統一する視点を常に持っていこうと思います。それぞれの課題への取り組みの積み重ねと技術の蓄積が一つの形になることを目指して。