札幌の自然緑地を調べる

トップページへ行く

調査地と目的(前のページ)

●主な調査と方法

 1999年度にやった調査について簡単に紹介していきましょう。

A植物相・目録作成(4-11月)

 緑地単位で出現する植物について記録していきました。去年451種の目録をつくりましたが(渡辺ほか1999)、さらに今年追加種があり532種について緑地ごとに有無を確認しました(532×24!)。これはかなりのもので(自画自賛)2年間でかなり充実したリストが出来ました。

B毎木調査(7-11月)

 20m×20mの調査区をとって、樹木全てにナンバーテープをつけて、樹種・直径・高さ・つるの有無などを記録して台帳をつくりました。緑地の林の基本的データとなります。林の将来の追跡のためにも重要です。今年は3緑地で新規に、平岡公園と厚別南緑地で2調査区を追加しました。

C稚樹調査(7月、10月)

 林の将来を担う稚樹・実生の分布や種類を大谷地の森と熊の沢公園で調べました。2m×2mの方形区を並べた調査区をとって、中にある稚樹にナンバーテープをつけ、樹種・高さ・虫による被食などを記録します。数が多いっ。

D緑地断面図調査(7月、10月)

 自然緑地のイメージを「横」から把握し、緑地の縁と内部での違いを比較するために、緑地を横断する調査区を設定しました。大谷地の森と熊の沢公園で、100-150mという長い調査区で毎木調査をし側面図を作成しました。大変だけど緑地の姿がよく分かります。

E樹木季節成長調査(5-11月)

 樹木が季節とともにどのように成長していくのかを綿密に調べました。コナラ・シラカバ・イタヤカエデ・シナノキ・ナナカマド・サワシバの6種について1本ずつ選び、直径・枝の伸び・葉の枚数・実の大きさを毎週〜毎月というペースで測定していきます。13号今月のグラフでコナラの結果を紹介しています。忙しいけど季節の変化をしっかり見ることができます。

F落下果実量調査・シードトラップ(9-11月)

 通信やラジオで紹介してきたシードトラップ調査。今年は緑地単位の調査を増やして12緑地で行ないました。1調査区に2このシードトラップを設置して落ちてくる実を回収するのみ。

G林床植物・個体群調査(4-9月)

 これはいろいろやりました。林床の植物について、個体の密度やサイズ構造、結実率・訪花昆虫・自家和合性などを調べました。表2に対象植物を紹介しました。基本的には毎木調査の草本版という感じ。人工受粉や袋がけなどの受粉実験もオオカメノキなどスイカズラ類で行ないました。各植物の生育環境や生活史についての記録となります。

H林床季節変化調査(4-10月) 

 林床の季節変化を追うために、2m×2mの方形区を9個設定し、月に1-2回のペースで植生調査を行ないました。変化していく林床の種・被度・高さを記録していきます。3方形区は人間が沢型を埋めてしまったあとの人工的な環境に設定し、自然な沢型との比較もします。

I野ネズミの生けどりわな調査(9月)

 これもおなじみになりつつあります。緑地の主要な哺乳類である野ネズミの生息密度を生け捕りわな(シャーマントラップ)調べました

J餌台の設置調査(9月)

 今年も餌を緑地において持ち去り実験しました。でも今年はネズミさん少ないようで全然持ち去られず.....

K鳥類分布調査(5-6月)

 繁殖期に緑地にいる野鳥を調べました。さえずり位置や巣の位置も地図に落していき、生息数・繁殖数も分かるようにしました。日による違いも大きくなかなか大変です。早起きしないといけないし。鳥は緑地から緑地に自由に移動できるので、緑地の利用の仕方はさまざまです。でもそれゆえに緑地の環境の評価に機敏な存在とも言えるでしょう。

L歩行性甲虫調査(6月,8月)

 1緑地あたり20個の落とし穴わな(ピットフォールトラップ、コップに酢酸入れる)を仕掛けて、落ちてくる昆虫を採集して種類・個体数を調べました。歩行性甲虫というのはシデムシ・オサムシ・ゴミムシ・エンマムシといった方々ですが、羽が退化しているものが多く、孤立した緑地の環境の指標によいと言われています。また死体を食べるものは、当然ネズミや鳥などがいなければいけないわけです。

M訪花昆虫調査

 花に来る昆虫の種類をチェック。

N花暦調査

 咲いている花を前期説にわたって記録しました。緑地の花暦です。